先日、AIRLINEという雑誌で、日本初のLCC(Low-Cost Carrier、格安航空会社)であるPeachの記事を読んでいたところ、Peachの採用情報が少し書かれていて、そこに「応募資格」として、

国籍不問(ただし日本語がネイティブ以上、日本で勤務出来る方)
――イカロス出版「月刊エアライン2011年8月号」p.47

という記述があるのを見つけました。

「『ネイティブ以上』に語学ができる人って、どんな人よ!? 言語学者しか採用しないとか?」とTwitterでつぶやいたところ、「『以上』だからネイティブとイコールでいいんじゃないか。」という意見が……。確かにそう言われればそうです。かく言う自分も、職場などでは「『以上』にはイコールを含む」といつも主張しています。なのになぜ、こんな文章を書いてしまったのでしょうか?

そこで、いまさらながら「以上」を辞書で引いてみたところ、

数量を表す用法では、その基準点を含む。「三歳以上」といえば、三歳を含んでそれより上をいう。しかし、程度を表す用法では、基準点を含むこともあり、含まないこともある。「中級以上のクラス」には中級が含まれるが、「小学生以上の体力」では、小学生を超えた体力をいう
――三省堂「大辞林 CD-ROM版」

という説明があり、つまるところ「どちらでもいけますよ」という感じ。

もうひとつ、別の辞書を引いてみると、

数値を伴わないで程度をいう場合は、「彼の実力は僕以上だ(=僕は彼に及ばない)」「予想以上の(=予想を超えた)被害」「これ以上は進めない(=ここまでは進める)」などのように、〈含まない〉と解される。
――大修館書店「明鏡国語辞典」

とあり、こちらはかなり積極的に「基準を含まない」場合を認めているようです。

結論としては、「以上」にはイコールを含むことも含まないこともある、ということですね。考えてみれば自分でも、会話ではイコールを含まない意味でよく使っているような気がします。冒頭のつぶやきも無意識のうちにこの意味で使っていたわけ。うーん、しかし両方の意味があるとなると、これから文章を書くときに悩みそうだなあ。