HP Spectre x360にWindows 11をクリーンインストールする
はじめに
HP Spectre x360 14-eaの調子が悪くなってきたので、Windows 11をクリーンインストールしてみた。そのときの手順をメモしておく。
このPCを購入したのは2021年1月。Win 11の登場前なので、HP Cloud Recovery Toolで作ったリカバリドライブで初期化すると、いったんWin 10に戻ってしまう。そこからまたWin 11に上げるのは面倒だし、不要なブロートウェアも残ってしまうので、できれば直接Win 11をクリーンインストールしたい。
だが、このPCはIntel VMDが有効化されていて、単純にWin 11のインストールメディアから起動しただけではインストーラが内蔵SSDを認識してくれない。UEFI BIOSの設定でVMDを無効化できれば良いのだが、設定画面にその項目はなさそうだ(OptaneをRSTドライバで使用してるから? 知らんけど)。
そこで、あらかじめIntel RSTドライバを入手して、インストールメディアにコピーしておくひと手間が必要になる。が、まあ注意が必要なのはそこだけで、他はASUS E210KAにWindows 11をクリーンインストールしたときとさほど違いはない。結論を先に言うと、必要なドライバも全部Windows Updateで勝手に落ちてくるし、特にトラブルもなく、すっきり快適になった。
手順
Win 11のインストールメディアを作成する
8GB以上のUSBメモリを用意し、MicrosoftのWindows 11 をダウンロードするページの「Windows 11 のインストール メディアを作成する」の「今すぐダウンロード」ボタンを押すと、MediaCreationTool_Win11_23H2.exe
がダウンロードされてくる。これを起動して、PCに刺したUSBメモリにインストーラを乗せる。
RSTドライバーをUSBメモリに入れる
RSTドライバーを使用してOptaneのVMDを有効にする方法の説明に従って、RSTドライバー18.xをダウンロードする。このとき
オプション 1:RAID を有効にする場合、または インテル® Optane™ メモリー H シリーズ・デバイスを管理する場合は、インテル® Optane™・メモリー搭載インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー・ドライバー・インストール・ソフトウェア (第 11 世代から第 13 世代までのプラットフォーム) から最新のインテル RST・ドライバーをダウンロードします。
の方ではなく、
オプション 2:インテル® Optane™メモリー M シリーズのデバイスを管理する場合は、インテル® Optane™ メモリー搭載 インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー・ドライバー・インストール・ソフトウェア (第 10 世代および第 11 世代プラットフォーム) から インテル RST ドライバー 18.x をダウンロードします。
の方から18.xのドライバーをダウンロードする。これ重要。「ダウンロード SetupRST.exe」ボタンを押すと、SetupRST.exe
が落ちてくる。
次に、Windows TerminalのPowerShellなどで下記のコマンドを入力すると、同じディレクトリにSetupRST_extracted
というフォルダができ、その中にexeからプリインストール・ドライバーが抽出される。
./SetupRST.exe -extractdrivers SetupRST_extracted
この「SetupRST_extracted」フォルダを、そのままWin 11のインストールメディアにコピーしておく。
Win 11をインストールする
Spectreを再起動し、1秒間隔でESCキーを連打していると、そのうちStartup Menuが立ち上がる。F9を押してUSBメモリからブートすると、Windowsセットアップが始まる。なお、インストール後にWindows Updateでドライバが入るまではタッチパッドが使えないので、マウスをつなぐか、全てキーボードで操作する必要がある。
Windowsのインストール場所を選ぶ画面で、ドライブが見つからなかったと言われるので、「ドライバーの読み込み」を押して、USBメモリにコピーしておいたSetupRST_extracted
の中のproduction\Windows10-x64\15063\Drivers
の中のVMD
フォルダを選択する。
インストールするドライバーの選択画面に、
- Intel RST VMD Controller 9A0B
- Intel RST VMD Managed Controller 9A0B
の2つが表示される。どっちが良いかよくわからなかったが、とりあえず「Managed」の方を選んでみたら、無事内蔵SSDがドライブ1として認識された。
ドライブ1のパーティションを全部削除し、Windowsのインストール先としてドライブ1を選ぶと、ファイルのコピーが始まる。しばらく待つと再起動を促されるので、USBメモリを抜いて内蔵SSDから再起動させる。
何度か再起動したあとにWindowsの初期セットアップが始まる。インターネット接続は必須。セットアップ時にはMicrosoftアカウントを強制されるが、以下の手順でローカルアカウントを作ることができる。
- Microsoftアカウントに「
no@thankyou.com
」と入力する - 適当なパスワードで認証を失敗させる
- 「問題が発生しました」の画面で「次へ」を押し、ローカルアカウントの作成画面へ
ここを過ぎれば、あとは指示に従って設定を済ませていくだけで、特に躓くポイントはなかった。
最初はデバイスマネージャーにかなりの数の不明デバイスが出ていたが、Windows Updateを何度か繰り返してすべて終わったときには、不明デバイスは無くなっていた。画面表示、タッチパッド、タッチ画面、microSDカードリーダ、ファンクションキーなどもすべて正常。また、SetupRST.exe
を手動実行しなくても、自動で「Intel Optane Memory and Storage Management」アプリケーションもインストールされた。