英単語の読み方あれこれ
仕事場で、近くの席の人が「echo」コマンドのことを「エチョー」「エチョー」って連呼するのが耳に入って仕事が手に付かない(笑)、とつぶやいたのが契機で、英単語の読み方について思いついたことを徒然なるままに……。
-
again /əˈɡen/ 再び
イギリス人は「アゲイン」と言いますが、アメリカ人は「アゲン」と言うようです。 -
agility /əˈdʒɪləti/ 機敏さ
「アジリティー」。むかし、何かのゲームで「敏捷性」にこの単語が使われていて、ずっと「アギリティー」だと思ってました。時代は下り、ソフトウエアのアジャイル(agile)開発というのに出会ったとき、agilityはagileの名詞形で、発音も「アジリティー」だったことに気づきました。 -
allow /əˈlaʊ/ 許可する
発音は「アラウ」なのですが、日本語話者では字面から「アロー」だと思っている人が多いようです。 -
alternative /ɔːlˈtɜːrnətɪv/ 代替の
2つ目のaは短母音/ə/で、発音は「オールターナティヴ」なのですが、なぜか二重母音/eɪ/っぽく「オルタネイティブ」と書かれることが多いです。native /ˈneɪtɪv/からの連想ですかね? -
alumni /əˈlʌmnaɪ/ 卒業生
英語読みするなら「アラムナイ」なのですが、なぜか「アルムナイ」と書かれているのをよく見かけます。euphoniumはユーフォニアムかユーフォニウムか、と同じような話ではあるものの、niをナイと読むならlumもラムと読んだ方が一貫性はあります。 -
azure /ˈæʒər/ 青空色
Microsoftのクラウドサービスとしてよく見る名前で、カタカナで書くならまあ「アジュール」になるよね、とは思いつつ、英語だとアにアクセントで「アジャー」なので、同じものとは思えません。 -
been /bɪn/ beの過去分詞
「ビーン」だと思っておられる人は多いようですが、短母音/ɪ/なので「ビン」の方が近いです。(と思って辞書を引いてみたら、強勢形では「ビーン」になることもあるようですが……) -
bomber /ˈbɑːmər/ 爆撃機
今やすっかり「ボンバー」が定着してしまいましたが、2番目のbは黙字なので「ボマー」、あるいはもう少し原音に近く読むなら「バーマー」ですね。 -
boolean /ˈbuːliən/ ブールの
「ブーリアン」です。日本語話者でたまに「ブーリーン」という人がいますが、読み間違いでしょう。数学者ジョージ・ブール(George Boole)の、という意味の形容詞です。 -
browse /braʊz/ 見て回る
「ブラウズ」です。「ブローズ」ではありません。browserが「ブラウザー」であるように。 -
bullet /ˈbʊlɪt/ 弾丸
なぜだか「バレット」が定着してますが、実際の発音は「ブレット」の方が近いです。箇条書きの頭につける丸は「ビュレット」とか「ブレット」というのに、なぜ「バレット」になったのか。 -
button /ˈbʌtn/ ボタン
まあ「ボタン」なんですけど、英語だと頭にアクセントで「バトゥン」なので、同じものとは思えません。 -
carnet /ˈkɑːneɪ/ 回数券
私は「一時輸出入する物品の通関に利用できる免税のための通関用書類」の意味での「カルネ」でこの言葉を知りました。もとはフランス語なので、英語でも末尾のtは発音しません。 -
Copenhagen /ˈkəʊpənheɪɡən/ コペンハーゲン
デンマークの首都「コペンハーゲン」なのですが、昔コペンハーゲン経由の飛行機に乗ったとき、機長アナウンスにときどき挟まれる「コウペナーゲン」の意味が分からず、だいぶ考えてから「あ、コペンハーゲンのことか!!」と気づいた思い出があります。 -
corps /kɔːr/ 部隊
「コー」です。部隊とか軍団とかの意味。フランス語経由で英語に入っているため、末尾のpsは発音しません。アメリカ海兵隊Marine Corpsは「マリーンコー」です。ちなみに、全集とか死体とかを意味する「コーパス」の方は、uが入ってcorpus /ˈkɔːrpəs/です。 -
coupon /ˈkuːpɑːn/, /ˈkjuːpɑːn/ 割引券
「クーポン」ですが、英語圏では「キューポン」という人もいるようです。元はフランス語ですが、フランス語でも「クポン」みたいな音なので、なぜ「キューポン」になっちゃったのかは知りません。 -
cron
これ、UNIXで決まった時間にコマンドを実行するしかけのことですが、なぜか「クーロン」と書かれるし、そう読まれます。でも、ご覧のとおりcの後ろに母音は無いので、cを「クー」と発音するのは個人的に抵抗があります。なので心の中ではいつも「クロン」と読んでいますが、それだと相手に通じないことが多いので、口に出すときは「クーロン」に変換しています。 -
desktop /ˈdesktɑːp/ 机上用の
GUIは机やフォルダーやファイルのメタファーだから「デスクトップ」が正しいんですが、「ディスクトップ」という人が割といます。ハードディスクやフロッピーディスクのdisk(円盤)と勘違いしてしまったんでしょうか。 -
detail /ˈdiːteɪl/ 細部
「ディティール」って言う人、結構いますよね。英語だと頭にアクセントで「ディーテイル」。二重母音/eɪ/を小書きで「ティ」と書いてしまったがゆえに、/ɪ/あるいは/iː/だと勘違いしてしまったパターンでしょう。 -
domain /dəʊˈmeɪn/ 分野
「ドメイン」です。日本語話者でたまに「ドゥーメイン」という人がいますが、読み間違いでしょう。do + mainではありませんよ。 -
done /dʌn/ doの過去分詞
「ダン」です。「ドーン」ではありません。 -
dove /dʌv/ ハト
「ダヴ」です。「ドーヴ」ではありません。(ハトの方の話です。米語でdive(飛び込む)の過去形のdoveは/dəʊv/「ドウヴ」です) -
echo /ˈekəʊ/ こだま
「エコー」ですね。日本語話者でたまに「エチョー」という人がいますが、ギャグで言ってるか、読み間違いでしょう。 -
errata /ɪˈrɑːtə/ 正誤表
正誤表のことですが、世間ではなぜか「エラッタ」と書かれるようです。でも「エラータ」の方が適切な気がします。最初に誰かがerattaと空目したのかな? -
environment /ɪnˈvaɪrənmənt/ 環境
「エンバイロンメント」。「エンバイロメント」と書かれますが、真ん中のnどこ行った? まあ、ごく軽く発音される(というか次のmに飲み込まれる)ので、書かない方が原音っぽいと言えるかもしれません。 -
Fcitx /ˈfaɪtɪks/
「ファイティクス」は、中国製のインプットメソッドフレームワークの名前なんですが、公式の発音は/ˈfaɪtɪks/で、cは発音されません。理由は知りません。 -
graal /ɡreɪl/ 杯
GraalVMはみんな「グラール」ブイエムと言ってますが、graalは、The Holy Grail(聖杯)で有名なgrailの異綴りなので、本来は「グレイル」と読むようです。(ただ、リーダーズ英和など/ɡˈrɑːl/を読みにあげている辞書もあるにはあるようです) -
haphazard /hæpˈhæzərd/ 行き当たりばったりの
「ハプハザード」。phは普通/f/と読まれますが、形態素の末尾のpと、別の形態素の頭のhがくっついた場合は、そのまま/ph/と読まれる、という例です。 -
indict /ɪnˈdaɪt/ 起訴する
「インダイト」。cは発音されません。もとはenditeと綴られていたのに、ラテン語のindictāreに近づけるため1600年以降にcが挿入され、一方で発音は変わらなかったから、だそうです。 -
install /ɪnˈstɔːl/ 取り付ける
「インストール」ですが、日本語話者で「インストゥール」という人が結構いました。toolと勘違いしてるか、instrumentからの連想とかなのかな? -
integer /ˈɪntɪdʒər/ 整数
「インテジャー」です。日本語話者でたまに「インテガー」と読むひとがいますが、冗談で言ってるか、読み間違いでしょう。 -
leopard /ˈlepərd/ ヒョウ
英語ではoを読まず「レパード」と発音します。ドイツ語のLeopardはレオパルト、フランス語のléopardはレオパール、スペイン語のleopardoはレオパルド、とみんなoを発音するのに、英語だけ発音しないのはなぜ? -
main /meɪn/ 主要な
二重母音/eɪ/なので「メイン」で、IT業界では普通そう読まれますが、マスコミはなぜか頑なに長母音っぽく「メーン」と書くのは、一体どういう理由なんですかね。 -
maintenance /ˈmeɪntənəns/ 整備
「メインテナンス」の最初のaiは二重母音/eɪ/で、綴りもaiなのに、なぜか短母音っぽく「メンテナンス」と書かれることが多いですね。 -
McDonald’s /məkˈdɑːnldz/
日本では「マクドナルド」ですが、英語の発音は(ダにアクセントを置いて)「マクダーノーズ」みたいに聞こえて、最初に聞いたときは何のことだか分かりませんでした。ちなみに、日本でドナルドさんと呼ばれているあの方、本家アメリカではロナルド(Ronald)さんです。 -
mishap /ˈmɪshæp/ 災難
「ミスハップ」。shは普通/ʃ/と読まれますが、形態素の末尾のsと、別の形態素の頭のhがくっついた場合は、そのまま/sh/と読まれる、という例です。 -
niche /niːʃ/, /nɪtʃ/ ふさわしい場所
「ニッチ」ですが、元はフランス語なので、英語圏でも「ニーシュ」と読む人は結構いるみたいです。 -
partition /pɑːrˈtɪʃn/ 間仕切り
「パーティション」ですが、日本語話者で「パーテーション」という人が結構いました。たぶん「ティ」という表記を見て二重母音/eɪ/だと勘違いしてしまったのでしょう。 -
question /ˈkwestʃən/ 質問
「クエスチョン」なんですが、なぜか「クエッション」という人が一定数いる印象。 -
said /sed/ sayの過去形
say「セイ」の過去形だから「セイド」と思っておられる人は多いようですが、短母音/e/なので「セッド」の方が近いです。 -
schedule /ˈskedʒuːl/, /ˈʃedjuːl/ 予定
「スケジュール」ですが、イギリスの人は絶対「シェジュール」って言いますよね。 -
surface /ˈsɜːrfɪs/ 表面
aは短母音/ɪ/なので、「サーフィス」あるいは「サーフェス」といったところですが、faceに引きずられてか、長母音っぽく「サーフェイス」だと思っている人も割といますね。塗装下地のsurfacerも「サーフィサー」なんですが、こちらはほとんどの場合「サーフェイサー」と呼ばれているようです。 -
sustainable /səˈsteɪnəbl/ 持続可能な
aiは二重母音/eɪ/で、綴りもaiなのに、なぜか短母音っぽく「サステナブル」と書かれます。「メンテナンス」と同じパターン。 -
tarot /ˈtærəʊ/ タロットカード
日本語では広辞苑でも「タロット」しか見出し語に挙げていませんが、元はフランス語なので、英語でも末尾のtを発音せず「タロー」です。 -
teaser /ˈtiːzər/ じらし広告
tease /tiːz/(いじめる)の名詞形で、eaは長母音/iː/なので「ティーザー」ですが、なぜか短母音っぽく「ティザー」と言われることが多いです。 -
tunnel /ˈtʌnl/ トンネル
同じものとは思えないシリーズ。まあ「トンネル」なんですけど、英語の発音は「タノー」にしか聞こえないですよね。 -
ultimate /ˈʌltɪmət/ 究極の
「アルティメット」ですが、mateに引きずられてか「アルティメイト」と書かれることがあります。 -
warning /ˈwɔːrnɪŋ/ 警告
「ワーニング」って書かれることが多いですが、原音からすると「ウォーニング」の方が近いです。戦争のwarsはちゃんと「ウォーズ」って書くのにね。
※更新履歴
- 2012-01-07 bomberを追加
- 2012-02-10 corps、tarotを追加
- 2023-10-14 desktopを追加
- 2024-04-29 発音記号と意味を追加し、全体的に記述を調整。alternative、alumni、azure、bullet、button、carnet、Copenhagen、detail、environment、fcitx、graal、haphazard、indict、leopard、main、maintenance、McDonald’s、mishap、question、surface、sustainable、teaser、tunnel、ultimateを追加