トリクル充電というのは、電池が自己放電するのと同じペースで充電し、常に満充電状態を保つような充電のしかた、だと思っていました。ウィキペディアにもそんなようなことが書かれています。

ところが、アップルのリチウムイオンバッテリーの説明を見ると、リチウムイオン電池の「定電圧充電」のことをトリクル充電と呼んでいるように見えます。リチウムイオン電池は、まず一定の電流で充電し、電池の電圧が4.2V(または4.1V)になったら、こんどは一定の電圧で徐々に電流を減らしながら、電流が0になるまで充電します。前半は電気を流せるだけ流して急速充電し(ここまでで90%ぐらいになる)、後半は溢れないようにチョロチョロと充電する、というような感じです。で、アップルは後半のチョロチョロ充電のことをトリクル充電と呼んでいるようです。しかし、冒頭で述べたように、電池の自己放電分を補って常に満充電を保つのがトリクル充電だとすると、後半のチョロチョロ充電が終わって100%になってからが、本当のトリクル充電の始まりではないでしょうか。

とここまで考えてハタと気づいたのですが、まず「トリクル」(trickle)とは、英語でまさに「チョロチョロ流れる」という意味であり、その語感からすると、アップルの言うように定電圧のチョロチョロ充電部分をトリクル充電と呼んでも、そんなに違和感がありません。それに、満充電を保つほうのトリクル充電の場合でも、電圧が下がってきたら少し電圧をかけて、電流が0になったらやめる、という動作を繰り返しているわけで、つまりどちらも「電流が0になるまで定電圧をかける」という意味では やってることは同じ、ということになります。

私は電池の専門家ではないので想像に過ぎませんが、たぶん充電器の動作としては「電池の放電電圧が4.2Vより低かったら定電流を流す、4.2Vだったら定電圧で電流を流す」という2つのモードしかなく、それが満充電の「前」なのか「後」なのかということは、特に区別していないのではないかと思います。

つまり結論としては、ウィキペディアもアップルも「どっちも正しい」ような気がしています。