iOSのU.S.拡張キーボード
iPhoneの外付けキーボードを買い直したのをきっかけに、iOSが持ってるハードウェアキーボード配列のレイアウトをちらほら覗いていたのですが、その中で「U.S. 拡張」(英語表示では U.S. Extended) というレイアウトがすごいということに気づきました。何がすごいかというと、option+英字の多くがデッドキーになっていて、ダイアクリティカルマーク付きアルファベット (éとかÇとか) がほとんどなんでも入力できる感じなのです。その一方で、何も修飾キーを押さなかったときとシフトキーを押したときの配列は一般的なアスキー配列なので、アクセント記号なんて意識しないときでも邪魔になりません。(これが意外と重要で、「U.S. (インターナショナル) - PC」配列なんかだと、アポストロフィとかクォーテーションマークがデッドキーになっているので、「”yes”」のつもりでタイプすると「ÿes”」になってしまったりします。)
配列を「U.S. 拡張」にしておくと、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などのメジャーどころはもちろん、ノルウェー語、スウェーデン語、アイスランド語などの北欧諸語、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語、ハンガリー語、エストニア語、ラトビア語、リトアニア語、ルーマニア語、クロアチア語、セルビア語などの東欧諸語、果てはベトナム語などのアジア系やエスペラントなどの人工言語系までカバーできてしまいます。
入力できる文字が多すぎてまだ全貌がつかめていない感じですが、「U.S. 拡張」の概要をメモしておきます。
option+英字でダイアクリティカルマークを入力したあと、続けてアルファベットを入力するのが基本です。例えば、éを入力したいときは、option+eのあとにeをタイプします。Çなら、option+cのあとにCをタイプします。以下に、このパターンのバリエーションを記述します。
■option+a
- マクロン( ¯ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaegilorsuvyzAEGILORSUVYZをタイプすると、āēḡīḹōṝs̄ūǖȳz̄ĀĒḠĪḸŌṜS̄ŪǕȲZ̄が入力されます。
- szSZをタイプしたときは、各アルファベットとU+0304 COMBINING MACRONとの合成文字となり、lrLRをタイプしたときは、各アルファベットとU+0323 COMBINING DOT BELOWとU+0304 COMBINING MACRONの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+b
- ブレーヴェ( ˘ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaeghiouAEGHIOUをタイプすると、ăĕğḫĭŏŭĂĔĞḪĬŎŬが入力されます。
■option+c
- セディーユ( ¸ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてcdeghklnrstzCDEGHKLNRSTZをタイプすると、çḑȩģḩķļņŗşţz̧ÇḐȨĢḨĶĻŅŖŞŢZ̧が入力されます。
- zZをタイプしたときは、各アルファベットとU+0327 COMBINING CEDILLAの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+e
- アキュートアクセント( ´ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてacegiklmnoprsuvwyzACEGIKLMNOPRSUVWYZをタイプすると、áćéǵíḱĺḿńóṕŕśúǘẃýźÁĆÉǴÍḰĹḾŃÓṔŔŚÚǗẂÝŹが入力されます。
- vVをタイプしたときは、uUの上にトレマとアキュートアクセントが両方ついた文字が入力されます。
■option+h
- マクロンビロー( ˍ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてbdhklnrtzBDHKLNRTをタイプすると、ḇḏẖḵḻṉṟṯẕḆḎH̱ḴḺṈṞṮẔが入力されます。
- Hをタイプしたときは、HとU+0331 COMBINING MACRON BELOWの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+i
- ホーンつきアルファベットを入力します。
- 続けてouOUをタイプすると、ơưƠƯが入力されます。
■option+j
- ダブルアキュート( ˝ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてouOUをタイプすると、őűŐŰが入力されます。
■option+k
- リング( ˚ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaeouwyAEOUWYをタイプすると、åe̊o̊ůẘẙÅE̊O̊ŮW̊Y̊が入力されます。
- eoEOWYをタイプしたときは、各アルファベットとU+030A COMBINING RING ABOVEの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+l
- ストロークまたはバーつきアルファベットを入力します。
- 続けてbdghilotuzDGHILOTZをタイプすると、ƀđǥħɨłɵŧʉƶĐǤĦƗŁƟŦƵが入力されます。
- なお、øØの入力にはこのシーケンスは使わず、øはoption+o、Øはoption+shift+oで入力します。
■option+m
- オゴネク( ˛ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaeiouAEIOUをタイプすると、ąęįǫųĄĘĮǪŲが入力されます。
■option+n
- チルダ( ˜ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaeinouvyAEINOUVYをタイプすると、ãẽĩñõũṽỹÃẼĨÑÕŨṼỸが入力されます。
■option+p
- コンマビローつきアルファベットを入力します。
- 続けてstSTをタイプすると、șțȘȚが入力されます。
■option+u
- トレマまたはウムラウト( ¨ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaehiotuwxyAEHIOTUWXYをタイプすると、äëḧïöẗüẅẍÿÄËḦÏÖT̈ÜẄẌŸが入力されます。
- Tをタイプしたときは、TとU+0308 COMBINING DIAERESISの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+v
- キャロンまたはハーチェク( ˇ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてacdeghijklnorstuvxzACDEGHIJKLNORSTUVXZをタイプすると、ǎčďěǧȟǐǰǩľňǒřšťǔǚǯžǍČĎĚǦȞǏJ̌ǨĽŇǑŘŠŤǓǙǮŽが入力されます。
- Jをタイプしたときは、JとU+030C COMBINING CARONの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
- xXをタイプしたときは、ʒƷとU+030C COMBINING CARONの合成文字が入力されます。
■option+w
- ドット( ˙ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてabcdefghimnoprstwxyzABCDEFGHIMNOPRSTWXYZをタイプすると、ȧḃċḋėḟġḣıṁṅȯṗṙṡṫẇẋẏżȦḂĊḊĖḞĠḢİṀṄȮṖṘṠṪẆẊẎŻが入力されます。
- ただし、iをタイプしたときは、点のないiが入力されます。
■option+x
- ドットビローつきアルファベットを入力します。
- 続けてabdehiklmnorstuvwyzABDEHIKLMNORSTUVWYZをタイプすると、ạḅḍẹḥịḳḷṃṇọṛṣṭụṿẉỵẓẠḄḌẸḤỊḲḶṂṆỌṚṢṬỤṾẈỴẒが入力されます。
- なお、cfgjpqxCFGJPQXを入力した場合は、素のcfgjpqxCFGJPQXが入力されます。この他のデッドキーでは、対応する文字がないアルファベットをタイプした場合、マークと文字が分離して入力されるのですが、option+xだけはなぜかこのような挙動になります。
■option+z
- フックアバブつきアルファベットを入力します。
- 続けてaeiouyAEIOUYをタイプすると、ảẻỉỏủỷẢẺỈỎỦỶが入力されます。
■option+6
- サーカムフレックス( ˆ )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaceghijmnosuwyzACEGHIJMNOSUWYZをタイプすると、âĉêĝĥîĵm̂n̂ôŝûŵŷẑÂĈÊĜĤÎĴM̂N̂ÔŜÛŴŶẐが入力されます。
- mnMNをタイプしたときは、各文字とU+0302 COMBINING CIRCUMFLEX ACCENTの合成文字となるので、合成文字に対応していな処理系では文字とダイアクリティカルマークが分離して見えます。
■option+`
- グレイヴアクセント( ` )つきアルファベットを入力します。
- 続けてaeinouvwyAEINOUVWYをタイプすると、àèìǹòùǜẁỳÀÈÌǸÒÙǛẀỲが入力されます。
- vVをタイプしたときは、uUの上にトレマとグレイヴアクセントが両方ついた文字が入力されます。
■option+shift+f
- チルダビローつきアルファベットを入力します。
- 続けてeiuEIUをタイプすると、ḛḭṵḚḬṴが入力されます。
■option+shift+g
- サーカムフレックスビローつきアルファベットを入力します。
- 続けてdelntuDELNTUをタイプすると、ḓḙḽṋṱṷḒḘḼṊṰṶが入力されます。
■option+shift+s
- インバーテッドブレーヴェつきアルファベットを入力します。
- 続けてaeioruAEIORUをタイプすると、ȃȇȋȏȓȗȂȆȊȎȒȖが入力されます。
■option+shift+y
- ダブルグレイヴつきアルファベットを入力します。
- 続けてaeioruAEIORUをタイプすると、ȁȅȉȍȑȕȀȄȈȌȐȔが入力されます。
■option+shift+.
- フックつきアルファベットを入力します。
- 続けてbcdfghiknpqrstuxyzBCDFGIKNPRSTUXYZをタイプすると、ɓƈɗƒɠɦɩƙɲƥʠʈʃƭʋɖƴȥƁƇƊƑƓƖƘƝƤƮƩƬƲƉƳȤが入力されます。ただし、対応が少し例外的なものが混ざっています。
これでも全ては網羅できてなくて、たとえばoption+’でæが出ますが、この前にoption+eを付けるとアキュートつきのǽが出せたり、option+aをつけるとマクロンつきのǣが出せたりします。また、先にアルファベットを入力し、次にダイアクリティカルマークを入力する方法もあって、例えばeのあとにoption+shift+eをタイプすると、é を入力することができたりもします(ただしこの方式の場合はeとU+0301 COMBINING ACUTE ACCENTとの合成文字になるので注意が必要です)。