「人気」は「にんき」と読むか「ひとけ」と読むかで意味がまったく変わります。このように、読み方で意味が変わる単語を集めてみました。

三省堂 現代新国語辞典 第7版 (2024年刊) では、読み方で意味が変わる単語に「注意」のマークが付けられています。そして巻末の「同表記異読み異義語」には、「注意」マークがついた下記の語が一覧にまとめられています。

  1. 相対 あいたい(-する)/そうたい
  2. 頭数 あたまかず/とうすう
  3. 姉さん あねさん(-かぶり・女房)/ねえさん
  4. 雨水 あまみず/うすい
  5. 新手 あらて/しんて
  6. 異形 いぎょう/いけい
  7. 一押し いちおし/ひとおし
  8. 一見 いちげん/いっけん
  9. 一途 いちず/いっと
  10. 一味 いちみ/ひとあじ
  11. 一目 いちもく/ひとめ
  12. 一端 いったん/いっぱし
  13. 入会 いりあい/にゅうかい
  14. 色紙 いろがみ/しきし
  15. 内面 うちづら/ないめん
  16. 器物 うつわもの/きぶつ
  17. 上手 うわて/かみて/じょうず
  18. 大事 おおごと/だいじ
  19. 大勢 おおぜい/たいせい/たいぜい
  20. 大手 おおて/おおで
  21. 大家 おおや/たいか
  22. 男気 おとこぎ/おとこけ
  23. 大人 おとな/たいじん/だいにん
  24. 自ら おのずから/みずから
  25. お守り おまもり/おもり
  26. 開眼 かいがん/かいげん
  27. 外面 がいめん/そとづら
  28. 帰す かえす/きす
  29. 河岸 かがん/かし/かわぎし
  30. 仮借 かしゃ/かしゃく
  31. 方々 かたがた/ほうぼう
  32. 花道 かどう/はなみち
  33. 仮名 かな/かめい
  34. 上方 かみがた/じょうほう
  35. 唐紙 からかみ/とうし
  36. 軽々 かるがる(-と)/けいけい(-に)
  37. 寒気 かんき/さむけ
  38. 気骨 きこつ/きぼね
  39. 生地 きじ/せいち
  40. 気取る きどる/けどる
  41. 逆手 ぎゃくて/さかて
  42. 今日 きょう/こんにち
  43. 強者 きょうしゃ/つわもの
  44. 強力 きょうりょく/ごうりき
  45. 金星 きんせい/きんぼし
  46. 見物 けんぶつ/みもの
  47. 好事 こうじ/こうず
  48. 後世 こうせい/ごせ
  49. 後生 こうせい/ごしょう
  50. 高台 こうだい/たかだい
  51. この間 このあいだ/このかん
  52. 小話 こばなし/しょうわ
  53. 小人 こびと/しょうじん
  54. 細々 こまごま/ほそぼそ
  55. 根元 こんげん/ねもと
  56. 根本 こんぽん/ねもと
  57. 再建 さいけん/さいこん
  58. 座頭 ざがしら/ざとう
  59. 作物 さくぶつ/さくもつ
  60. 様々 さまさま/さまざま
  61. 山陰 さんいん/やまかげ
  62. 地頭 じあたま/じとう
  63. 地方 じかた/ちほう
  64. 自重 じじゅう/じちょう
  65. 下手 したて/しもて/へた
  66. 地味 じみ/ちみ
  67. 重宝 じゅうほう/ちょうほう
  68. 出場 しゅつじょう/でば
  69. 出来 しゅったい/しゅつらい/でき
  70. 出店 しゅってん/でみせ
  71. 手練 しゅれん/てだれ/てれん
  72. 声明 しょうみょう/せいめい
  73. 精霊 しょうりょう/せいれい
  74. 性悪 しょうわる/せいあく(-説)
  75. 初日 しょにち/はつひ
  76. 白髪 しらが/はくはつ
  77. 白子 しらこ/しらす
  78. 地力 じりき/ちりょく
  79. 代物 しろもの/だいぶつ
  80. 人気 じんき/にんき/ひとけ
  81. 人事 じんじ/ひとごと
  82. 心中 しんじゅう/しんちゅう
  83. 身上 しんしょう/しんじょう
  84. 人体 じんたい/にんてい
  85. 心底 しんてい/しんそこ
  86. 真面目 しんめんもく/まじめ
  87. 数奇 すうき/すき
  88. 素振り すぶり/そぶり
  89. 生物 せいぶつ/なまもの
  90. 背筋 せすじ/はいきん
  91. 造作 ぞうさ/ぞうさく
  92. 旅人 たびにん/たびびと
  93. 単一 たんいち(-乾電池)/たんいつ
  94. 中点 ちゅうてん/なかてん
  95. 中日 ちゅうにち/なかび
  96. 帳面 ちょうづら/ちょうめん
  97. 追従 ついじゅう/ついしょう
  98. 爪弾き つまはじき/つまびき
  99. 出来物 できぶつ/できもの
  100. 同人 どうじん/どうにん
  101. 読本 とくほん/よみほん
  102. 土産 どさん/みやげ
  103. 名代 なだい/みょうだい
  104. 何人 なにじん/なにびと/なんにん/なんぴと
  105. 何分 なにぶん/なんぶ/なんぷん
  106. 名主 なぬし/みょうしゅ
  107. 二重 にじゅう/ふたえ
  108. 二世 にせ/にせい
  109. 日中 にっちゅう/ひなか
  110. 日長 にっちょう/ひなが
  111. 年中 ねんじゅう/ねんちゅう
  112. 半月 はんげつ/はんつき
  113. 評定 ひょうじょう/ひょうてい
  114. 仏語 ふつご/ぶつご
  115. 物心 ぶっしん/ものごごろ
  116. 文書 ぶんしょ/もんじょ
  117. 分別 ふんべつ/ぶんべつ
  118. 変化 へんか/へんげ
  119. 町中 まちじゅう/まちなか
  120. 末期 まっき/まつご
  121. 守り まもり/もり
  122. 名跡 みょうせき/めいせき
  123. 目下 めした/もっか
  124. 役所 やくしょ/やくどころ
  125. 湯桶 ゆおけ/ゆとう
  126. 利益 りえき/りやく

上記以外で、自分が思いついたものも付け足しておきます。

  1. 赤道 あかみち/せきどう
  2. 家電 いえでん/かでん
  3. 大人気 おとなげ/だいにんき
  4. がく/ぬか/ひたい
  5. 風車 かざぐるま/ふうしゃ
  6. 気色 きしょく/けしき
  7. 木綿 きわた/もめん/ゆう
  8. 草原 くさはら/そうげん
  9. 黒子 くろこ/ほくろ
  10. この頃 このころ/このごろ
  11. 最中 さいちゅう/さなか/もなか
  12. 細目 さいもく/ほそめ
  13. ネコ目 ねこめ/ねこもく
  14. 明朝 みょうあさ/みょうちょう/みんちょう(-体・綴じ)

現代新国語辞典の同表記異読み異義語には、先にあげた一覧以外にも、数字が含まれる語の例として次の7個が示されています。「二日」や「二十」は、どちらの読み方でもほぼ同じ意味ですね。

  1. 一日 いちじつ/いちにち/ついたち
  2. 二日 ににち/ふつか
  3. 一分 いっぷん/いちぶ
  4. 一行 いちぎょう/いっこう
  5. 一文字 ひともじ/いちもんじ
  6. 二十 にじゅう/はたち
  7. 二分 にふん/にぶん

数字が含まれる類としては、ほかにも下記などがありそうです。

  1. 四角 しかく/よすみ
  2. 十分 じっぷん/じゅうぶん
  3. 五十日 いか/ごとおび
  4. 百足 ひゃくそく/むかで

ひとつの漢字にある程度意味が離れた訓が複数あるような場合も、同表記異読み異義語の一種と言えそうです。ぱっと思いつくのは下記のようなものでしょうか。

  1. いく/おこなう
  2. からい/つらい
  3. くさい/におい
  4. くるしい/にがい
  5. ぼける/ほれる

読み方を変えると固有名詞になる単語、というのも大量にありそうです。例えばこのようなものを思いつきました。

  1. 金子 きんす (かねこ)
  2. 君子 くんし (きみこ)
  3. 光子 こうし (みつこ)
  4. 国立 こくりつ (くにたち/こくりゅう)
  5. 里子 さとご (さとこ)
  6. 三重 さんじゅう (みえ)
  7. 十勝 じっしょう (とかち)
  8. 素子 そし (もとこ)
  9. 大分 だいぶ/だいぶん (おおいた)
  10. 年子 としご (としこ)
  11. 平野 へいや (ひらの)
  12. 牧野 ぼくや (まきの)
  13. 孫子 まごこ (そんし)
  14. 陽子 ようし (ようこ/はるこ)
  15. 利子 りし (としこ)
  16. 量子 りょうし (りょうこ)

なお、現代新国語辞典では、音・訓両方の読み方がある語として、下記の4例があがっています。これらは、読みは違っていても意味はほぼ同じなので、異義語とまでは言えないでしょう。

  • 明日 あす/みょうにち
  • 昨日 きのう/さくじつ
  • 春風 はるかぜ/しゅんぷう
  • 紅葉 もじみ/こうよう

類似の例はあげればキリがないと思いますが、下記のようなものが浮かびました。

  • 市場 いちば/しじょう
  • 何時 いつ/なんじ
  • 勝負 かちまけ/しょうぶ
  • 工場 こうば/こうじょう
  • 食物 たべもの/しょくもつ
  • 凸凹 でこぼこ/おうとつ
  • 音色 ねいろ/おんしょく
  • 乾物 ひもの/ほしもの/かんぶつ
  • 牧場 まきば/ぼくじょう
  • 眼力 めぢから/がんりき

読み方で意味が変わる単語というくくりでは、表記も読みも同じなのにアクセントが違うと意味が変わる単語とか (たとえば「同期」は頭高か平板かでかなり意味が変わります)、区切りを変えると意味が全然違う文章 (たとえば「家来ちゃう」) なんかも載せたいところですが、まだサンプル数が少ないのでまた今度ということで。

※更新履歴

  • 2024-09-28 全面改稿
  • 2024-10-20 ネコ目を追加